農薬は
どれくらい野菜に残っているの?
「野菜に残っている農薬が気になる!」という声をよく聞きます。実際のところ、どれくらい残っているのか気になりますよね。そこで、散布した農薬について、散布した直後や少し日にちが経ってから、そして収穫時になどそれぞれのタイミングでどれくらい残っているか調べてみました。
登場する用語について
- 残留農薬
農薬の使用を起因として、食品等に含まれる物質のことを残留農薬といいます。
農産物自体の成分や、農薬の使用以外で添加された物質とは異なります。
- 残留農薬基準
農薬は、国への登録をする際に、人間や家畜等への害がない範囲を作物残留等の基準として定め、この基準を超えないよう作物ごとに使用方法が定められています。
残留農薬の基準値は、人がその物質を一生毎日食べ続けても健康への悪影響がない量を元に決められていますので、基準値以内の残留農薬であれば、健康に影響はありません。
- ppm
ppmとは、濃度や割合を示す単位で、100万分の1を表しています。
1ppmの農薬の検出とは、1キログラムの農産物中に 1ミリグラムの農薬が含まれていることを意味します。
検査編①
(とうもろこし)
1検査の手順
- ① 畑から採ってきた「とうもろこし」を実と皮に分ける
- ② とうもろこしの実を粉砕し、検査に必要な量を取り出す
- ③ 皮とひげだけをすべて粉砕し、必要な量を取り出す
- ④ 実、皮、別々で検査を実施
2検査結果
6月22日に散布・残留農薬基準 0.05ppm
検査日 | 畑からの採取日 | 検査部位 | 結果(単位:ppm) |
---|---|---|---|
6月22日 | 散布当日 | 実 | 検出せず |
外皮 | 0.31 | ||
6月25日 | 散布後3日目 | 実 | 検出せず |
外皮 | 0.62 | ||
7月7日 | 散布後15日目 | 実 | 検出せず |
外皮 | 0.13 |
6月22日に散布・残留農薬基準 0.2ppm
検査日 | 畑からの採取日 | 検査部位 | 結果(単位:ppm) |
---|---|---|---|
6月22日 | 散布当日 | 実 | 検出せず |
外皮 | 0.37 | ||
6月25日 | 散布後3日目 | 実 | 検出せず |
外皮 | 0.87 | ||
7月7日 | 散布後15日目 | 実 | 検出せず |
外皮 | 0.22 |
6月5日、22日、29日に散布・残留農薬基準 0.5ppm
検査日 | 畑からの採取日 | 検査部位 | 結果(単位:ppm) |
---|---|---|---|
6月22日 | 1回目の散布後17日目 2回目の散布直後 | 実 | 検出せず |
外皮 | 0.51 | ||
6月25日 | 1回目の散布後20日目 2回目の散布後3日目 | 実 | 検出せず |
外皮 | 0.29 | ||
7月7日 | 1回目の散布後32日目 2回目の散布後15日目 3回目の散布後8日目 | 実 | 検出せず |
外皮 | 検出せず |
※ 検査結果については、数値にバラツキがあるように見えますが、数値の単位が非常に小さいため誤差の範囲です。
3検査してわかったこと
今回検査した結果では、農薬は散布直後でも実まで影響がないことがわかりました。
農薬の種類により、散布当日に採取・検査したものと数日後に採取・検査した方の検出数値は若干異なりますが、いずれも収穫時期には検出されないか、残っていても外皮部分にごくわずかだけという結果になりました。
このことから、私たちが普段通りに調理して食べても農薬を口にすることはないと考えられます。
今回検査した結果では、農薬は散布直後でも実まで影響がないことがわかりました。
農薬の種類により、散布当日に採取・検査したものと数日後に採取・検査した方の検出数値は若干異なりますが、いずれも収穫時期には検出されないか、残っていても外皮部分にごくわずかだけという結果になりました。
このことから、私たちが普段通りに調理して食べても農薬を口にすることはないと考えられます。
検査編②
(レタス)
とうもろこし編では、農薬は実(食べる部分)までは影響がなく、外皮にほんの少し残っていることがわかりましたが、では皮のない野菜はどうなのでしょう???今度はレタスで実験してみました。
1検査の手順
① 外葉をつけたままレタスを粉砕し、必要な量を取り出し検査を実施
▲10月28日採取
▲10月30日採取
▲11月1日採取
2検査結果
10月21日、28日に散布・残留農薬基準 10.0ppm
検査日 | 畑からの採取日 | 結果(単位:ppm) |
---|---|---|
10月28日 | 1回目の散布後7日目 2回目の散布当日 | 6.303 |
10月30日 | 1回目の散布後9日目 2回目の散布後2日目 | 4.184 |
11月1日 | 1回目の散布後11日目 2回目の散布後4日目 | 1.524 |
9月29日に散布・残留農薬基準 2.0ppm
検査日 | 畑からの採取日 | 結果(単位:ppm) |
---|---|---|
10月28日 | 1回目の散布後29日目 | 0.027 |
10月30日 | 1回目の散布後31日目 | 0.008 |
11月1日 | 1回目の散布後33日目 | 0.005 |
3検査してわかったこと
農薬の種類(効果)により、残留する濃度に違いがありましたが、いずれにしても基準値を大きく下回る結果となりました。農薬Dは、散布直後でも残留農薬基準値以下でしたが、2日後、4日後と短期間で大きく減少することがわかりました。農薬Eは散布が収穫の1か月以上も前になるため、収穫時にはほとんど残っていないことがわかりました。
農薬の種類(効果)により、残留する濃度に違いがありましたが、いずれにしても基準値を大きく下回る結果となりました。農薬Dは、散布直後でも残留農薬基準値以下でしたが、2日後、4日後と短期間で大きく減少することがわかりました。農薬Eは散布が収穫の1か月以上も前になるため、収穫時にはほとんど残っていないことがわかりました。
調理編
(レタス)
農薬は散布した直後でも「検査編①(とうもろこし)」では外皮まで影響がないこと、「検査編②(レタス)」では、基準値以下であることがわかりました。また、残っている農薬も日数の経過により、どんどん減っていくこともわかりました。
でも、減っていても少しは残っているかもと思うと「食べる時はどうなの?」「家庭で調理するとどうなるの?」とやっぱり気になります。
そこで調理編!「洗う(生で食べる)」「ゆでる(加熱して食べる)」で実験してみました。
1検査の手順
10月28日に収穫した外葉をつけたままのレタスで実験開始!
畑からの採取日 | 結果(単位:ppm) | |
---|---|---|
農薬D | 1回目の散布7日後 | 検出:6.303 基準値:10.0 |
農薬E | 1回目の散布29日後 | 検出:0.027 基準値:2.0 |
実験① 洗ってみました
一枚ずつはがし、流水で2分間水洗いします。
外側の葉も芯も全部一緒に洗ったよ。
外側の葉も芯も全部一緒に洗ったよ。
実験② 茹でてみました
適当な大きさにちぎって、2分間茹でます。
水の量は2.5ℓ。レタスが浸るくらい。
水の量は2.5ℓ。レタスが浸るくらい。
実験③ 番外編
外葉(3枚)取ってみました。(洗っていません)
外側の大きな葉を取り除いたよ。
外側の大きな葉を取り除いたよ。
実験結果(単位:ppm)
採取日 | 実験 ① 「流水で洗う」 | 実験 ② 「茹でる」 | 実験 ③ 「外側の葉を取った」 |
|
---|---|---|---|---|
農薬D 基準値:10.0 | 6.303 | 1.402 | 0.791 | 検出せず |
農薬E 基準値:2.0 | 0.027 | 0.005 | 0.005 | 0.0026 |
2検査してわかったこと
どちらの農薬も「流水で洗う」・「茹でる」を行うと残っていた農薬がさらに取り除かれ、検出の限界に近い値まで減少することがわかりました。また、外側の葉を取ってしまうと、洗ったり、茹でたりしなくても、ほとんど残らないことがわかりました。
どちらの農薬も「流水で洗う」・「茹でる」を行うと残っていた農薬がさらに取り除かれ、検出の限界に近い値まで減少することがわかりました。また、外側の葉を取ってしまうと、洗ったり、茹でたりしなくても、ほとんど残らないことがわかりました。
検査編①(とうもろこし)検査編②(レタス)、調理編(レタス)をとおして
とうもろこしとレタスで「農薬はどれだけ残っているのか?」を実験してみましたが、
- ① 散布直後でも農薬は残っていても基準値を大きく下回っている
- ② 農薬は中まで浸透していない(外側の葉に付着している)
- ③ 農薬を散布した後は、日数が経過するほど減って行く
- ④ 農薬は水洗いや茹でるなどの調理によって減る
検査編①(とうもろこし)検査編②(レタス)、調理編(レタス)をとおして
とうもろこしとレタスで「農薬はどれだけ残っているのか?」を実験してみましたが、
- ① 散布直後でも農薬は残っていても基準値を大きく下回っている
- ② 農薬は中まで浸透していない(外側の葉に付着している)
- ③ 農薬を散布した後は、日数が経過するほど減って行く
- ④ 農薬は水洗いや茹でるなどの調理によって減る
温暖湿潤で病害虫の被害を受けやすい日本では、農産物を一度にたくさん育てるには農薬の散布が一般的ですが、農薬は作物ごとに使用できる量や回数などの他、どれだけ残ってよいかの残留農薬基準が定められています。万が一、基準値を超えてしまった場合は、市場に出回らない仕組みがあります。
生協では、安心してご利用いただけるよう、お届けする農産品が残留農薬基準を超えていないかを確認する「残留農薬検査」を行っているほか、青果物仕様書(農薬や肥料の散布時期や回数が記載された計画書)も点検しています。
組合員の方々に安心してご利用いただけるよう、これからも産直の生産者の皆さんと協力していきます。
温暖湿潤で病害虫の被害を受けやすい日本では、農産物を一度にたくさん育てるには農薬の散布が一般的ですが、農薬は作物ごとに使用できる量や回数などの他、どれだけ残ってよいかの残留農薬基準が定められています。万が一、基準値を超えてしまった場合は、市場に出回らない仕組みがあります。
生協では、安心してご利用いただけるよう、お届けする農産品が残留農薬基準を超えていないかを確認する「残留農薬検査」を行っているほか、青果物仕様書(農薬や肥料の散布時期や回数が記載された計画書)も点検しています。
組合員の方々に安心してご利用いただけるよう、これからも産直の生産者の皆さんと協力していきます。
残留農薬検査の手順では、「外皮、ひげを除く」と決められているため、皮の基準はありません。そのため、実の基準を皮にも適用しています。
残留農薬検査の手順では、「外皮、ひげを除く」と決められているため、皮の基準はありません。そのため、実の基準を皮にも適用しています。